桜貝のぶらり京都たび
日英の理工系口頭発表コーパスの構築と検索サイト JECPRESE Building a Japanese-English Corpus of Presentations in Science and Engineering and JECPRESE
我々は許可を得て修士論文口頭発表のデータを収集し、英語の発表と比較検討する研究に取り組んだ。ここではデータ収集の歩み、およびデータを載せた検索サイトJECPRESE の開発、およびデータの解析結果の一部について概観する。https://www.ninjal.ac.jp/event/
Updated Date : 2018-12-16 09:44:17
Author ✎ Teddy
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1991 年当時、大阪大学には留学生のための日本語教室はなかった。そこで、工学研究科に日本語クラスが設置されることになり、偶然にも林が担当することになった。その時の留学生相談室の担当教員は「ぜひ理系という特色を生かした日本語教育を」と熱意に燃えていたが、日本語が話せない留学生と漢字能力が高い中韓の留学生が混在するクラスで、実験等で休みがちの留学生に、研究できるまでの日本語力がつくよう指導することは難しかった。試行錯誤を続けたが、特にアジア圏の留学生から「第二次世界大戦で焼け野原になったのに、欧米に飲み込まれずにトップクラスの科学技術レベルを持つにいたったのはなぜか、を知りたいため日本に留学した、それを可能にした日本の文化についても学びたい」という声が聞かれた。
個人的に論文や口頭発表の入手も試みたが、大規模なコーパス構築は難しかった。その時、偶然に、ある大学の農学部卒業論文発表の録音を入手・文字化し、序論部を解析した論文を出すことができた。それを旧知の教官に見せ「頂いたデータはこのような形で公表するため専攻に迷惑をかけることはない」とデータ収集をお願いした。その教官は専攻の許可をとってくださったが「データは序論部に限る」という限定付きであった。林は「論文すべてのデータが必要」と主張し、許可を得るため専攻の教授会に出席し必要性を訴えることになった。幸いにも許可が得られ、データの解析結果を論文で発表した。その論文を他専攻の教官にお見せしその専攻でのデータ収集の許可をお願いした。 このようなやり取りの中で、林は個人ではなくチームでコーパス構築し・解析する研究の必要性を感じ、日本語の関係者に共同研究を申し入れたが賛同はえられなかった。
特に、論文を書かなければならない大学生にお勧めのサイトです。論文に必要な日本語・英語の表現を知ることができます。 データを載せた検索サイトJECPRESE の開発を行った。 http://www.jecprese.sci.waseda.ac.jp/
OpenMatome
工学教育ではますます英語教育が重視されるようになっており、「理工系では英語で指導するため専門日本語教育は不必要」と考えている日本語教員も多かった。 林は工学英語(野口)を聴講させていただき、ESP (English for Specific Purposes)の考え方に触れ、コーパスの重要性を理解していた野口と、英語による化学教育を始めようとしていた国吉とチームを組むことになった。その後、国吉が早稲田大学に転出することになり、さらに東條(英語教育)がチームに加わった。 得られたデータは録音・原稿・発表のパワーポイントなど様々である。契約でチームの 4人以外はデータにアクセスできないため、未だ文字化できていない録音も多いが、この契約により、データは学生個人というより専攻の承認を得たものとなり、信頼性が高まったと考えている。日本においても欧米と同様、研究発表の現場データの入手は、今後さらに困難になると予想される。その意味でも本コーパスは極めて貴重なデータになろう。
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